年末年始、久しぶりに実家へ帰省された方も多いのではないでしょうか。
親御さんと過ごす時間の中で、
「あれ、足元が少しおぼつかないな」
「玄関の段差で転びそうになっていた」
と気になった方もいらっしゃるかもしれません。
離れて暮らしていると気づきにくいのですが、数ヶ月ぶり、半年ぶりに会うと、その変化ははっきりと見えてくるものです。
実は、高齢者の転倒・転落による死亡事故は年間1万人以上。
これは交通事故の5倍以上にのぼります(厚生労働省「人口動態統計」令和4年)。そして事故の多くは、住み慣れた自宅やその周辺で起きています。
今回は、帰省をきっかけに
「実家の外構、そろそろ何とかしないと」
と感じた方に向けて、玄関アプローチや駐車場のバリアフリー化についてお伝えします。
帰省中に確認したい「危険な外構」のチェックポイント
まず、実家の外構で見ておきたいポイントを整理しましょう。
次回帰省される際や、お電話で親御さんに確認される際の参考にしてください。
玄関アプローチの段差

玄関ポーチへの上がり段差、アプローチ途中の段差は、高齢者にとって大きなリスクです。
若い頃は何気なく上り下りしていた10〜15cmの段差でも、足腰が弱ってくると踏み外しやつまずきの原因になります。
特に確認したいのは、段差の高さがバラバラになっていないか、という点です。人間は無意識に「同じ高さ」を想定して足を動かすため、段差の高さが不揃いだと転倒リスクが一気に高まります。
滑りやすい舗装
築20〜30年の住宅では、玄関アプローチにタイルや石材が使われていることが多いのですが、経年劣化で表面がツルツルになっていたり、コケが生えていたりするケースがあります。特に雨の日や、冬場の凍結時は非常に危険です。
東濃エリアや尾張東部は冬の冷え込みが厳しく、朝晩の凍結も珍しくありません。この時期に「滑って転んだ」という話は、私たちも施工現場でよくお聞きします。
手すりのない通路
駐車場から玄関まで、あるいは門扉から玄関までの通路に、手すりや手がかりになるものがないケースも多く見られます。特に駐車場は玄関から離れていることが多く、車を降りてから玄関にたどり着くまでの距離が意外と長い場合があります。
距離にして5〜10m程度でも、途中で休んだり体を支えたりする場所がないと、高齢者にとっては不安な動線になります。
外構バリアフリー化の具体的な方法
では、実際にどのような対策ができるのか、具体的に見ていきましょう。
段差解消:スロープ設置のポイント

段差を解消する最も一般的な方法は、スロープの設置です。ここで重要なのが「勾配」です。
バリアフリー法では、屋外スロープの勾配は1/15以下が推奨されています。これは、高さ10cmを上げるのに150cmの水平距離が必要ということ。思ったより緩やかに感じるかもしれませんが、車椅子での自力走行や、杖をついての歩行を考えると、これくらいの勾配が必要になります。

実用的には1/12〜1/15の範囲で設計することが多く、高さ30cmの段差を解消するなら、3.6〜4.5mほどのスロープ長さが必要になる計算です。敷地の広さとの兼ね合いもあるため、現地を確認しながら最適な設計を行います。
また、スロープが長くなる場合(6m以上)は、途中に踊り場を設けることも大切です。
手すり設置:高さと素材の選び方
屋外の手すりは、高さ75〜85cmが標準的な設計基準です。
これは立った状態で自然に手が届き、体重を預けやすい高さです。
手すりの太さは直径3〜4.5cmが握りやすいとされています。
太すぎると握り込めず、細すぎると力が入りにくくなります。
素材は、屋外で使用するため耐久性が重要です。ステンレス製は耐久性・メンテナンス性に優れ、長期間の使用に適しています。樹脂被覆されたタイプは、冬場でも冷たくなりにくく、手触りも柔らかいのが特徴です。
手すりは片側だけでも効果がありますが、上りと下りで使いやすい側が異なる方もいらっしゃいます。可能であれば両側設置が理想的です。
滑りにくい舗装材への変更
舗装材を滑りにくいものに変更する方法もあります。
選ぶ際の目安となるのがCSR値(滑り抵抗係数)です。0.5以上あれば滑りにくいとされています。
代表的な舗装材をご紹介します。
インターロッキングブロック
インターロッキングブロックは、表面に適度な凹凸があり、CSR値0.5〜0.8程度の防滑性があります。色やデザインのバリエーションも豊富で、補修もしやすい素材です。
洗い出し仕上げ
洗い出し仕上げは、コンクリートの表面を洗い出して骨材(砂利)を露出させる仕上げ方法です。CSR値0.6〜0.8程度あり、自然な風合いも楽しめます。
ノンスリップタイル
ノンスリップタイルは、表面に特殊な加工を施したタイルで、CSR値0.6以上のものが多く流通しています。既存のタイルを剥がして張り替える工事になります。
介護保険や補助金を活用する

外構のバリアフリー化には、公的な支援制度を活用できる場合があります。
介護保険の住宅改修費
意外と知られていないのですが、介護保険の住宅改修費は屋外工事にも使えます。
2000年12月の制度改正以降、玄関から道路までの段差解消や手すり設置、舗装材の変更なども支給対象になりました。支給上限は20万円で、所得に応じて1〜3割の自己負担で工事ができます。つまり、最大18万円が介護保険から支給される計算です。
ただし、いくつか注意点があります。
まず、事前申請が必須です。工事を始める前に、ケアマネージャーを通じて市区町村に申請を行い、承認を得る必要があります。工事後の申請は認められません。
また、工事の目的が「日常生活に必要な外出のため」であることが求められます。「通院のため」「デイサービス利用のため」など、具体的な必要性を理由書に記載します。
詳しい申請方法や対象工事については、厚生労働省の資料(介護保険における住宅改修)もご参照ください。
各自治体の制度
土岐市・多治見市・瑞浪市など、東濃エリアの各自治体でも介護保険の住宅改修費制度が利用できます。申請窓口は各市の介護保険課です。
また、バリアフリー改修工事を行った場合、固定資産税の減額措置が受けられる場合があります。65歳以上の方が居住し、改修費用が50万円以上の工事を行った場合、翌年度の固定資産税が3分の1減額されます(1年間)。詳しくは国土交通省の案内(バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置)をご確認ください。
なお、補助金制度は年度ごとに内容が変わる場合があります。工事を検討される際は、必ず最新情報を各自治体の窓口でご確認ください。
室内のバリアフリー化と合わせて検討を
今回は外構のバリアフリー化についてお伝えしましたが、玄関から先の室内についても対策が必要なケースは多くあります。
当ブログでは、室内のバリアフリーリフォームについても詳しく解説しています。優先順位の考え方や費用、補助金活用について知りたい方は「バリアフリーリフォームはどこから始める?優先順位・費用・補助金を解説」も合わせてご覧ください。
また、実家が空き家になっている、あるいは将来的に空き家になる可能性がある方は、建物や庭の維持管理も重要です。
「相続した実家の庭、どうする?外構・庭リフォームで資産価値を守る方法」
「空き家の冬対策|11月中にやっておきたいメンテナンスと管理のポイント」
も、併せてぜひ参考にしてください。
まとめ
年末年始の帰省で、親御さんの暮らしについて改めて考えた方も多いのではないでしょうか。
外構のバリアフリー化は、大掛かりな工事に思えるかもしれませんが、手すりの設置だけ、段差解消だけといった部分的な対応から始めることもできます。介護保険の住宅改修費を活用すれば、自己負担を抑えて工事を行うことも可能です。
大切なのは、事故が起きる前に対策をとること。転倒して骨折し、そのまま寝たきりになってしまう高齢者は少なくありません。住み慣れた家で安心して暮らし続けるために、外構の安全対策はとても重要です。
林組では、土岐市・多治見市・瑞浪市・可児市をはじめ、瀬戸市・春日井市・名古屋市など幅広いエリアで外構・エクステリア工事を承っています。
「実家の玄関アプローチが気になる」
「どこから手をつければいいかわからない」
という方も、まずはお気軽にご相談ください。
現地を確認しながら、最適なプランをご提案いたします。
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